ワック
渡部昇一/著
秀吉は「東亜共栄圏」を目指していた。
日本型指導者の一番は信長でも家康でもなく秀吉―なぜか?
日本人のための日本の歴史。
豊臣秀吉を知る★★★★★
応仁の乱から始まる戦国時代ですが、その応仁の乱があったればこそ、地方に文化が根付いて花開き、大半の日本人にとってこの頃から家系というものが始まったのです。戦乱と新しい歴史の幕開けだったと言えます。
その後、足利幕府の衰退により下克上の世の中が始まり、織田信長が登場し、ヨーロッパに並ぶ大改革や、場合によっては先んじた事を行うのですが、本書では、その後の豊臣秀吉の歴史に力を注いでいます。
何よりも、朝鮮出兵の事についてしっかりと書かれており、秀吉の外交上のミスや海軍(水軍)を戦力ではなく輸送力としてしか考えなかったというミスを指摘した上で、朝鮮での加藤清正や島津家を始めとする日本軍の活躍(現地の評判は意外と良かった)や、朝鮮や明の認識の甘さと腐敗振りについて、豊臣秀吉の小説を書いてはどうですか?と言いたくなるくらい書かれています。
個人的には、小田原評定で否定的な見られ方をする北条氏の領国経営の手腕を高く評価されているのが妙に嬉しかったです。