ワック
渡部昇一/著
国をおとしめ、歴史を歪めてきた者の正体を明らかにし、彼らが形成してきたサヨク的「戦後常識」のベールをはがしてみれば、そこには父祖の世代が志した、まっとうですこやかな歴史観がみえてくる。
まるで、夕立ちのあとの、虹を仰ぐような清涼感を覚えることだろう。
渡部先生の歴史よもやま話★★★★☆
タイトルの「日本の歴史(7)戦後篇」から期待されるような、教科書的ないわゆる「通史」ではありません。渡部先生が歴史上の様々なトピックに関して、世間での誤解や常識の嘘を啓蒙するよもやま話を、(恐らく口述筆記で)書物にしたものです。また、「戦後篇」と言っても、ポツダム宣言受諾の話題から始まりますし、その後の東京裁判絡みでも、戦前〜戦中の話題にもかなり触れられています。独特の渡部節は恒例で、大変読みやすく、興味深い記述が満載でした。
以下、特に印象に残った記述です。
◆p.89 神戸では第三国人に警察まで占領されたことがあった。それを救ったのが暴力団の山口組だったりしたものだから、長い間、警察は山口組に頭が上がらなかったと言われる。
◆p.124 『憲法九条を世界遺産に』(集英社新書)を書いた宗教学者、中沢新一氏もオウム真理教を弁護した一人である。オウム真理教に酔ったように第九条にも酔えるのだろう。
◆p.143 この犯人と言われた河本大作大佐は、東京裁判の頃はまだ中国に捕らわれていたのだから法廷で証言させることもできたであろうに、そうしなかったのは、判事を出しているソ連に不利になるからだったろうと推定するのが自然である。
◆p.148 宇垣大将の組閣に陸軍がゴネた時、天皇陛下が「組閣の大命を受けさせないとは何事か」とおっしゃっていればと悔やまれてならない。
◆p.150 今から振り返れば、天皇陛下に口を出して頂きたかったことがたくさんある。三国同盟にしても、「あれはよくない」とはっきり言って頂きたかったと思う。
◆p.160 そもそも、温家宝は中国のナンバー3だから、天皇陛下の晩餐会に呼ぶ必要などない。外務省のチャイナスクールが動いて画策したのであろう。
◆p.194 岸信介氏は巣鴨プリズンに拘留されている時、週に一度は夢精したとかオナニーしたとかいう逸話の持ち主である。同年輩の連合艦隊参謀長などが、ついに一度も夢精しなかったことについて、岸氏は「あんなだらしない奴らに軍を握られていたのか」と語ったとも言われる。
全うな日本の史観が生きてゐる!!★★★★☆
アメリカを始めとした連合国の欺瞞=ポッダム宣言違反の日本占領を告発する事から本書は始まってゐます。そして、歪んだ戦後史を捉へ直す幾つものキーワードを上げての解説的な文体は、劃期的なものであります。米上院でのマッカーサー発言、「敗戦利得者」の存在、コミンテルン陰謀史の真実、日米安保の正統性等、左翼的な俗論から歴史の真実発掘に成功してゐると言へます。
日本の全うな在り方を真っ直ぐに述べてくれる貴重な試みは、本当に有難いです。最後の所では、日米安保の解消の危機にまで言及し、これからの日本の覚悟を問うてゐます。日本の正統な歩みを全うに進む大切さが伝はって来る良書であります。
爽快!渡部史観。★★★★★
歴史というのは確かに無数の事実の積み重ねであり、どのような立場で歴史を
捉えるかによって自虐史観ともなり得るし、その逆もあり得る。
どちらが正しい正しくないと言う前に何故、自国の歴史や文化に自信の持てなくなる
教育を続けなければならないのか? 疑問である。
是非、いつの日か渡部先生に小、中学校で使う日本史の教科書を書いていただきたいと思う。
ポツダム宣言が無条件降伏と思っている日本人が大多数なのではないだろうか。
戦後民主主義のマクロ的な見直し★★★★☆
過去60年間はびこっていた「左翼的戦後民主主義」のベールを剥がし、正常かつ国史的な歴史観を取り戻すことが本書の主張。
共産主義、東京裁判、55年体制や日本における皇室と神道など、最低限の知識を要求されるが、その求められるレベルの割には情報が幅広く網羅されており、確かにわかりやすい。
また、日本史としては当然ではあるが、主張は全て国益の観点から、日本を中心として描かれており、この点では妙に米中の主張に偏っている教科書と比較して興味を持って読むことができる。
1点残念なのは、おそらくわかりやすさを重視した上なのであろうが、本書で主張されている史実に関して、一次資料が曖昧であり、あくまで個人的な主張に見える箇所が散見されたことである。
教育改革、日米安保、コミンテルンの暗躍など、歴史の見方が変わるほどの内容であるが故に、わかりやすさを犠牲にしても客観性を重視して資料のみをまとめた章立てなどがあっても良かったのではないだろうか。
人種差別をなくし共産主義を倒した日本★★★★★
大東亜戦争に敗れこそしましたが、戦後、人種差別がなくなり共産主義陣営が崩壊したのは日本の力によるところが大きいのです。それがGHQの占領政策や社会党・共産党・日教組・朝日新聞・岩波書店・それに連なる学者といった売国的勢力の喧伝により不当に貶められてきました。それを見直そうと言うのが著者の主張です。
ソ連こそ崩壊しましたが中国と北朝鮮は共産主義陣営として踏ん張っており、日本の左翼に影響力を残しているので油断は出来ません。そこで日本の安全保障の為にアメリカとの連携を強化して核議論も行う事も提案しています。
個人的に興味深かったのが、戦前の方が自由な教育がされており、政治もはるかに理想的な立憲政治だった事や、農地解放は土地問題を解決し日本を革命勢力から守ったと評価する一方で、その後、農地を得た小作人が農業をしなくなったので食糧問題に禍根を残している事や、昔の政治家は下半身パワーみなぎっており、岸信介は巣鴨プリズンで週に一度はアレをしていたのに比べ、今の政治家はスケールが小さくなったとしている所です。ただ一つ言わせてもらうと、鳩山由紀夫は他人の妻を奪って我妻としているので、下半身パワーに限るならばみなぎっていると思います。